hummel×清水和也×RODA SHOES SESSION “AFTER TALK”

RODA谷口:さて、ここからはRODAスタッフの玉田も加わって、世界大会をもう少し突っ込んで振り返っていければと思います。玉田はRODAスタッフの中でも、世界大会をほぼ全試合見ていました。そんなフットサルフリークの玉田から清水選手に直接聞きたいことが山ほどあるということで質問をさせていただければと思います。

RODA玉田:宜しくお願いします!世界大会お疲れ様でした!まず、スペイン代表のファンホ選手が出なかった件についてなんですけど(笑)

一同:(笑)

※ファンホ選手の話はRODA TVのインタビュー動画をチェック!

RODA玉田:ファンホ選手が出場せず、清水選手との対決が見れなくて残念ではありました。ただ、それだけスペインの層が厚いということを感じられました。まぁ、それはちょっと置いといて(笑)

まず日本代表以外で優勝するのではと思っていたチームはありましたか?

清水選手:はい、僕はアルゼンチンが優勝すると思ってました。

RODA玉田:そうなんですね。僕は大会を観ていてカザフスタンが優勝するのではと思っていました。清水選手が先ほどお話しされていたチーム力の部分もしっかり持ってるなと思いましたし、主にカイラト(UEFAのフットサルカップで優勝を経験しているカザフスタンの強豪クラブ)のメンバーでそのまま代表チームを組んでいるような感じだったので、面白いチームだなと思っていました。カザフスタン代表のタイナン選手もスペインリーグのエルポソに入りましたし、大会を通じて特徴的だなと感じたのが、ゴレイロがそのまま上がってくるナチュラルパワープレーの戦術でした。

正直、観ている自分としては時と場合により好みが分かれるんですが、シンプルに清水選手はナチュラルパワープレーについてどう思いますか?

清水選手:敵チームであれば厄介に思いますね!ゴレイロが上がってきて、自陣でプレーをされると、17、18mでも平気でシュートを撃ってくるので、やっぱり防ぎ切れないなと思うような場面は出てきてしまいますね。なので対応するのは非常に厄介だと思います。しかもそういうプレーをするゴレイロは足元の技術が高いので、プレスをかけても、その空いたスペースを突いてくるという技術に長けているので、やってきたら非常に嫌だなと思います。

逆に自分達がやる場合には、自分達の攻撃のレパートリーが増えることに繋がります。後出しの状態でプレーができるので、相手がこう来たら自分達はこうしようというのができるようになります。なので、ナチュラルパワープレーができるゴレイロがいると頼もしいと思いますね。

RODA玉田:なるほど。ちなみに清水選手が所属するコルドバではパワープレーはどうされてますか?

清水選手:自分がゴレイロユニを着てパワープレーをすることもありますし、展開の中でゴレイロがボールを運んで上がってくるということもあります。ただ、その場合、ゴレイロのレベルによっては、フィールドの選手が一枚相手を剥がさなくてもカザフスタンのようなパワープレーができるので一つのメリットではありますよね。例えボールを失ったとしても本職のゴレイロがいるってなれば失点のリスクも減るなと思います。

ただ逆に相手に奪われてそのままガラ空きのゴールに入れられるというデメリットもあると思いますが、それでもメリットの方が多いんじゃないかなと思います。

RODA玉田:同じような戦術を対戦されたチームですとブラジルのギッタ選手が上がってくる場面とかあったと思います。日本代表として相手のナチュラルパワープレー時のディフェンスなど練習はされたりしましたか?

清水選手:ブラジル戦には関しては前の試合から中二日しかなかったので、なかなか対策というところに本腰を入れてやる時間は無かったですね。でもビデオミーティングでチェックする時間は非常に多かったです。

ギッタ選手が上がってきたときにどう対応するかもそうですけれども、ピヴォ3選手のプレー集もビデオミーティングで見ました。一つのチームに対するスカウティングというのは、ビデオミーティングでは10分、15分ぐらいでまとめてやるんですけども、ブラジルに関しては非常に多かったです。回数も3回ぐらいやりましたし、個々の脅威が高いブラジルに関しては、チームとしてのプレー集というよりは個人個人のパート別の映像をチェックして「こういう風に攻めてくるからね」だったりだとか「ピヴォはこういう特徴あるよ」といったミーティングをしたので、そういう対策の方が多かったですね。

RODA玉田:そうなんですね。個人的にはナチュラルパワープレーが世界的にトレンドになるんじゃないかと感じていて、戦術としてかなり広まるんじゃないかと思うんですれども、Fリーグも今回の世界大会が終わってから、ナチュラルパワープレーが目立つようになった気がします。そういうことがスペインリーグでも起きてるのかなと気になったんですが、特別やり始めたクラブとか出てきたりしていますか?

清水選手:そうですね。自分のイメージ的には今回の世界大会が戦術的に初って感じでも無かったので、それこそカザフスタンのカイラトだったり、ポルトガルのスポルティングやベンフィカなんかはゴレイロが得点を取っちゃったりする試合が多いので、個人的にサプライズ的なものでは無かったですね。

スペインでもそれをやるクラブは多いなと感じていますし、ゴレイロがずっと残ってパワープレーを行うのではなく、例えばカウンターの場面で味方の選手にパスするよりも自分が持っていった方が速いなと思えば、そのままカウンターに行きますし、他にはプレス回避の一環としてゴレイロを上げてっていうのは色んなクラブの選択肢の一つとして持ってるかなと思います。

ただ、初めからサプライズを持ってナチュラルパワープレーをするチームっていうのはまだまだいないかなと思います。でも日本と比較して「それを決断するか!?」っていうサプライズ感はまだまだスペインやポルトガルなど海外の方があるなと思います。

日本のゴレイロは取られたらマズイなと思ってなのか、ボールをクリアしたり、思いっきりシュートをバーンと撃って相手ボールにしちゃうとかあると思うんですけれども、海外のゴレイロは「別にリスクを冒しても良いや!」って思ってるのか、「いや、そこは簡単に味方に預けて、ポジションに戻れよ」っていうシーンでも自分で行っちゃうというのもあるので、やりきるっていう部分ではリスクのかけ方でちょっと違った特徴があるのかなって思いますね。

RODA谷口:チームとしては特に決まり事とかはなくて、選手の判断を尊重してゴレイロが前に出るのは、あまり咎めない感じなんですかね?

清水選手:いや、でも、コルドバだと、比較的にゴレイロを絡めてのビルドアップっていうのは今シーズンは特に多くなってきましたね。

やっぱり相手チームも無理にプレスをかけないというのもあると思うんですよ。それによりゴレイロがキープする時間が長くなった場合、「自分の陣地で保持するのと相手の陣地で保持するのとどちらが良いのか?」ってなって、当然、相手陣地に近づくのが良いよねってなります。自然に前に行ける、ビルドアップができるっていうのが、結果的にプレス回避にも繋がるので、そういった意味での使い方を多用してるという感じです。そこからどう攻撃に繋げるかというのは決まり事があるので、例えばサポートが一枚下りて来るとか、そういう決まり事はあります。

RODA谷口:僕個人としては、日本対ブラジルのワンシーンなんですけど、これで点が入るんだなっていうのがありまして。シンプルにゴレイロのギッタ選手からピヴォのフェラオ選手への縦当てからの反転シュートでゴール。いやぁ、ちょっと、これで1点取れちゃうんだな、と。日本がしっかりとボールを回して前に持っていく戦い方をしてるのに、それを飛び抜けちゃうような衝撃を覚えてしまって。これでも1点は1点なんだという残酷さと言いますか。

実際どう見えてましたか?

清水選手:そうですね。ゴレイロが持った時にはプレスをかけるっていうのは、意識として持っていたんですけれども、今思うとあの高さでかける必要は無かったのかなとは思います。ただやっぱり、ピッチ上での判断なので。後からだと何でも言えちゃうんですよね。

もうちょっとコースを切れば良かったじゃん!って。でもピッチにいる上で、一瞬一瞬の判断っていうのは凄く難しくて、それをチームとして共有できてる部分とできてない部分があって、あの失点シーンはチームとして共有していた上でのプレスだったので。僕のイメージとしては、あそこまで左足で正確に蹴れるか?ってのもありました。

RODA玉田:なるほど。利き足じゃないですもんね。

清水選手:そうなんですよ。あぁなってしまうと防ぎきれないなってのもあるんですけど、縦パス一本で打開できる個の能力を持っているってことを考えると、プレスをかけないで引いても良かったんじゃないかなと解決策は出てきます。でも、あの場面でのプレスは良い判断だったと思っていますし、そこはもう相手を褒めるべきなのかなと思います。

RODA玉田:ありがとうございます。パワープレーは今回の世界大会で注目していたシーンだったので取り上げさせてもらいました。日本のフットサルも、これからもっと足元が使えるゴレイロが現れて、より攻撃的なフットサルが見れるようになるんじゃないかなと個人的には思っています。色々聞けてありがたかったです。

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