REAL FUTEBOL GUIDANCE Vol.1

ジュニア、フットボール育成についての考えかた、方針。それぞれの立場で今感じていること。

湘南ベルマーレフットサルクラブ監督・奥村敬人
ブリンカールサッカースクール代表・古居俊平
アグレミーナ浜松監督・豊島明
対談 2019.12.19


2006年にFUTSAL SHOPとして産声をあげたRODA。
OPENした当時、僕は26歳で周りの友達も同世代、夜な夜なフットサルをやってはあーでもないこーでもないとフットサルを独学で楽しんでいた時代。当時は皆がプレイヤーだった。
あれから14年。気づけば結婚して、子供が2人出来て、自分も蹴るし、子供も蹴るし、という環境に周りも皆なってきている。
僕たちが小学生のころの環境とは全く違うこのFOOTBALLを取り巻く世界。
SNSからは死ぬほどFOOTBALL情報は流れてくる。
あーしたほうがいい、ここのスクールはいい、ここはだめだ。。。。
情報に翻弄された親が決めた先で本当に子どもたちは蹴ることを楽しんでいるのだろうか?
どーすればいいかなんて答えは誰も分からない。
だけど分からないなら、REALな現場の最前線にいる人に聞いてみよう。
それこそが本当に生きた情報。
僕、RODA創設者の鶴見が司会、進行をさせていただくなか
昨年の バーモントカップ(JFAバーモントカップ第29回全日本U-12フットサル選手権大会)で優勝したブリンカールサッカースクールの代表 古居氏
神奈川フットサル界のレジェンド P.S.T.C. LONDRINAから現在は湘南ベルマーレフットサルクラブの監督を務める 奥村氏
元フットサル日本代表の経験を持ち、我々と同世代で2児の父、現アグレミーナ浜松の監督 豊島氏
FOOTBALLとFUTSALを熟知した3人がRODAのために、、、
同じ悩みを持つ我々世代のために、、、
語ってくれた”生きた”言葉。


Table of Contents

  • ジュニアの育成についての考え方、方針
  • 保護者のオーバーラップ感
  • 南米フットボールの体験について
  • フットボールの原理原則について

ジュニアの育成についての考え方、方針

RODA鶴見
それではそろそろ始めさせていただきます。
ジュニアの育成について、古居さんは経営者としてもやられていますよね。
奥村監督、豊島監督は組織の中での監督という少し離れた現場にはなるかと思いますが。
それぞれ違った立場からの、ジュニアの教育に対する考え方、方針をお聞かせいただけますか? まずは奥村監督から、いかがでしょうか?

奥村監督
小学生のフットサルの育成クラスがあって月に4回、これしか私は携わってないんですが、そんな中でジュニアのフットサルには実は興味があります。
自分の教育方針というか、考え方としてはブラジル、ストリートサッカーの文化。そういった部分をすごく参考にしています。子供たちが大人とか年齢関係なく一緒にサッカーをして、その中でやられながら、泣きながら、くらいついて学ぶようなスタイル。3年生から6年生で一緒にやっているんですよ。(フットサルの練習を)
やっぱり3年生はやられて泣きながらとか、でも何とか食らいついて。一方6年生は簡単にやれちゃうけど、その中でうっかり3年生にとられちゃうシーンがあったりもして。
そういう環境を用意したところで色んなアプローチをしていくような育成を打ち出してやっています。

RODA鶴見
我々の少年時代でもあったような光景でもありますよね。公園で蹴って遊んでいると周りから色んな年代の子が集まってきて。

奥村監督
逆に僕の年代とかの環境だと、各年代でしっかり別れちゃっていて、あまり上の年代の人とやる機会がなかったですね。だから逆に上手い選手とかがそこで天狗になってしまうような風習もありました。
自分よりもっと上手い選手とやって、まだまだだなっていうとこを体感しながら、どんどん吸収していく、そういうスタイルがいいと思います。

RODA鶴見
ある程度精神的にも成長した年代の子供達でも、例えば4年生あたりの子たちでも、気持ちというか感情は出してくるものですか。悔しくて泣いちゃうとか。

奥村監督
ありますね。僕が受け持つ育成クラスではそういうなかで(各年代一緒にプレーするなかで)球際もバチバチでやって、狭い中で個を活かす。まず個があってスペースをどう活かしていくか。ボールの置き所、その中で2人の関係性があったりするところ。あんまり戦術にはめ込むようなことはしないで、1人、2人の関係の中だけで崩していくようなところを教えています。 ブラジルなんかでは2年生とかで4-0のかたち(クアトロ・ゼロというフットサルのボール回しの戦術)で崩している映像を見かけたりします。もちろんブラジルの中でもトップ選手たちがそういった感じだとは思いますが。 どこまでやっていいのかっていうのは正解はないと思います。

RODA鶴見
そうですね。豊島さん、どうでしょうか?

豊島監督
今はトップカテゴリーを受け持っていて、育成からは離れてしまっているので育成年代の現場に立つのはごく稀です。
ただ基本的な考えはケイトさん(奥村監督)がおっしゃったとおりです。
年代にもよりますが、その組織がチームなのかスクールなのかでやることは変わると思います。チーム化していない組織で戦術とかをやってもしょうがない。決まり事とかそいうのをそこまでやっても。
フットサルを教えていてもやっていることはフットボールであることは変わらないので、基本的には個で局面を打開したり、パスの選択を自分で出来るようにならないと、ロボットみたいになっちゃうので。がっちり戦術にはめてどうこうというのは、自分がジュニアの育成の現場に立っていたときはやらなかったです。
まだフットサル専門でやっている子達は少ないです。自分の実感では8割、9割はサッカーと両立してやっているような状況でした。フットサル専用の練習というよりは、サッカーで活かせるような狭い局面での状況設定をつくって判断力を養うトレーニングを連続して行う。そしてゲームに活かす。そういった形で取り組んでいました。
もちろんそこの組織にチーム性があれば、そこに戦術をはめ込むというのも面白いアプローチになります。ただ、自分のジュニア育成現場ではチームではなかったので。

RODA鶴見
チーム監督という立場のお二人にお話しいただきました。ありがとうございます。
そうしましたら、スクールという立場から古居さんお願いします。

BRINCAR古居代表
僕らは基本サッカースクールとして運営させてもらっています。カテゴリは3歳から15歳までの間。
自分の経験のなかでのサッカーというものの位置づけですが、人生、生活を豊かにしてくれる側面がすごく多くて。お金とかそういうものではなくて。子供たちにもサッカーの楽しさ、本質的にどう楽しいのか。これを伝えたいです。
自分が一番やったことへの達成感だったり、自分が成長したという経験が非常に大事なもので。そういったところで、子供たちには個の追求というのがベースです。楽しさを追求するために、個を伸ばす。だから僕らは一番最初にくるものが楽しさ。なにをやっても楽しくというところを。苦しくても、辛くても、最終的に楽しいというものにつなげるにはどうすればいいのか。例えば、練習にドリブルをたくさん入れたりとか、もしくはリフティングをやったりだとか、サッカーの一つ一つの要素を取り入れて。楽しさがどんどん連続していき、子供たちがもっとこうなりたいとなっていく中で、僕らはどんどん新しいものを提案していかなければなりません。レベルやカテゴリがどんどん変わる中で、いろいろプラスアルファして形にしていくようなものですが。最初はサッカーというものはボール遊び、ということから始まり、そこから、こいつと一緒にやっていて楽しい。上手い人と一緒にやって楽しい。誰かと一緒にボールを蹴って楽しい。サッカーというものを通じて集まれる、一つのコミュニティのツールとしては最高で、そこを僕らは大事にしています。サッカーを教えているっていうのも、こういうことやっていると楽しいんだよ。こういうことやっていると友達も増えていくよって。
そういうのが続いていって、最終的には社会人につながっていくなかで、自分が夢もって、目標もって、どういう風になりたいのかというようなすごくポジティブな考え方の出来る子供たちが育っていくのかなと。サッカーをうまく使いながら彼らの成長を僕らが促していくという形で取り組んでいく。 ということで、個人の追求、1対1をそこで仕掛けて抜く、点とる、守る、サッカーの原理原則のしっかりゴールを守って攻めるっていうのをより追求した中で伝えている感じです。

RODA鶴見
みんな学校ちがうんですよね?一緒の子もいる?
スクールを通じて、サッカーを通じてやっぱりみんな友達になりますか?

BRINCAR古居代表
学校は一緒の子もいて、違う子もいます。
友達になって、そして小学校から中学校に上がるわけで、そこにスクールに入ってた子がいたり、またそっから高校に行ったらそこにも一緒にスクールにいた子がいたりだとか。
ブリンカールという場所でみんなサッカーを学びに来てるだけだったはずなのに、自然と色んな違ったところも自分の世界観が広がっていって、コミュニティが広がって、最終的には、大きくなった今でも友達同士あって遊びにいくとか。お母さんたちも含めて飲みにいったりだとか、そういうつながる場所にもなったりしているので。サッカーというのを通じて、いろんなものを彼らは成長する中で得ているかなと思います。
ただ、競技性が上がって競争がでてくるので、いろんな苦しいものにもぶつかります。(メンバーに)選ばれる、選ばれない。(試合に)出れる、出れない。上手くなる、ならない。というところが始まってくるので、そこがなかなか難しいところではあります。競技性が上がってくればくるほど。

RODA鶴見
個人が競争していて、でもその中でみんな楽しもうとしている、クラブとしては楽しんでくれというスタンスをどう伝えますか。

BRINCAR古居代表
これはできた時の達成感になります。
うちでいうとクラスが変わってきたりするので、自分が評価されて上に上がったとか。いつもコーチと会議していて、こいつ今頑張っているよって話になったら、別にそれが定期的でなくても、じゃクラス上げてあげてトレーニングさせてあげたり、日ごろ頑張っていることを評価してあげる。それが上手い、下手ではなくて頑張っていることを評価してあげる。上にあげて、その子がそこでモチベーション高くトレーニングしてその子がまた自分のカテゴリに戻った時には、そのモチベーションのままやることで周りの子が影響を受けて頑張ってやってくれますので。
10対0で勝つ試合と、1対0ギリギリ、アディショナルで入れるような試合と、どっちがっていうのでいくと、やっぱりそっちのほうが喜び、達成感が違うので。そして、なるべくそっち側をどう作るかっていうのが大切ですよね。どう真剣になるか。
僕ら楽しさって言ってますけど、真剣にやらせることをまず求めているので。楽しくワイワイやることではなくて、真剣に勝つためにどうするか。負けた時の悔しさというものは相当なものにはなりますし、逆に勝ったときは相当うれしい。そういうのを連鎖してつなげるようにしています。

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