REAL FUTEBOL GUIDANCE Vol.1

フットボールの原理原則について

RODA鶴見
さっき古居さんのほうからチラッとフットボールの原理原則といった言葉が出ていたんですが、
海外だとはじめからそこがベースにあるようなお話をよく聞いたりするんですが、日本のフットボールシーンの中において、原理原則みたいなものはどういったタイミングで備わっていくものですか?子供がボールに触れた先に。

BRINCAR古居代表
原理原則は大分難しいんじゃないですか。そのとらえ方を含めていくと。
海外とかは文化として染み付いていて、スポーツが自分たちを豊かにする生活の一部になっているので。スポーツが周りにあふれているような感じですね。みんなで楽しむ、みんなで一緒に共有する。応援する。歓喜する。悔しがる。それをするにはどうするかというのがよく見てるから分かっている。
日本人はやっぱり、特にフットボールの原理原則に関しては難しいと思います。原理原則を教えているって人はそんなにいないんじゃないですか。もしかしたら。

RODA鶴見
それは勝手に備わっていくようなものですか?

BRINCAR古居代表
いや備わっていないんじゃないですかね、日本だと。備わってないのと、なかなかそこを伝えきれていないからダメな部分もあるかもしれないです。ある意味軟弱というか。勝ち負け、点とるか、とられるか。そこの原理原則をより追求しているのか、そこをちょっと目を背けて、ただ楽しい、ただ出来たことだけを称賛するのか。いいサッカーをして負けたらオッケーなのか。いいサッカーをしなくても勝てばオッケーなのか。
いいサッカーをしなくても勝てばオッケーなのが海外だから。基本的には日本はどちらかというとそのプロセスを美化しがちなので。日本人がどれくらいちゃんと理解できてフットボールを落とし込めているかという難しい部分があると思います。
みんなそこは色々な切り口があると思いますが、要は、さっきの話にもあった、負けたら次の日そこにはいない。スポーツというのは本当はそれくらい厳しい世界だと思うんです。それを追求しようと思ったらもっと厳しさを子供たちに伝えなくてはいけない。
どうしてもそういうふうになってくるので、さっき言いましたが、要は親が何を言ってもいいと、そういう中でもやらなきゃいけないんだと。そういう中でやってたからこそ勝ったときは相当嬉しいですし、負けたときは相当プレッシャーになって悔しいし。
どのくらいそこの原理原則を伝えるかっていうのは難しいですよね。ゴールをしっかり目指すために自分がどれくらい日々追求しているのか、守るためにどれだけ追及しているのか、その中に技術とか戦術とか出てくると思うので。
そこが本当にしっかりできている奴がいたら、なんで(我々がいるのか)って。どちらかといえば楽ですよね(笑)監督は楽ですよ(笑)
それさえ出来てれば、一つの事を言えば全部理解してくれて、全部の事やってくれるから。

豊島監督
そこと育成っていうのはまたちょっと(違いますよ)ね。別の、トップカテゴリに進むにあたって。段階もありますし。

RODA鶴見
単純にボールを相手より一点でも多く入れて、あとは集団で行うじゃないですか。
僕らスポーツの前に遊びだと思って、遊びって呼んでいるんですが、その辺と、かつ、勝利を目指すところっておっしゃる通りそんな簡単ではない話だと思います。
いろいろな情報がある中で、選択肢もいっぱいあって、たまたま入った少年団で、勝利至上主義であったり、勝つことは重要とは分かっているんですが、そこに子供が追い付いていない状態で入ってしまったときに、試合に出れる、出れないもでてくるじゃないですか。そういうシーンを見たり聞いたりすることも多いなかで、どういう選択肢があるのかと悩みを抱えている親御さんもいらっしゃると思います。
割とスポーツをやられていたご両親とかがいるといろいろ知っていると思うんですが。そうじゃない中で、こうだよってボンって入れちゃうと、それこそ辞めちゃうとか、でも一点でも多くとんなきゃそもそも面白くないし。いろいろな部分あるんですけれど、ちゃんと整理してっていうチームさんっていっぱいあるのかなって。どうなんですか?

BRINCAR古居代表
基本的に日本人はみんな真面目だなと思っちゃうんですけど、こうだって言ったら、それを変えることがダメ、ちょっと方向転換するのがダメみたいな、新しいものを取り入れるのはちょっとというのがあるので。
どうシフトしていくのかっていうところですね。より厳しさをもっと伝えていくのがどこのタイミングなのかっていう。下の年代でそういう部分も伝えていきながら、かといってそこだけに引っ張られずにどのようにやるのか。
ここには指導者のビジョンとか、クラブの理念とか、非常にそこが大事になってくるかと思います。子供たちを育成するうえで、最終的にそれをどうゆう風にしたいのか。僕はやっぱり生涯スポーツとしてサッカーを一生続けて楽しさをもっと持って生活してほしいと思っているので。途中でやめることは非常に寂しいことだし。
自分の教えたことができなかったら悪なのか。できなかったとしても別にいいと思って寄り添いながら一緒に指導できるのか。育成はどちらかといえば寄り添いながら親身になって、考えながら模索して、一緒に苦しみながら成長するものだと思っています。
勝利至上主義みたいなひとが育成にどのくらいいるかは知りませんが、ただ指導案、やり方とかじゃなくって、本質のところを伝えられるかどうかをもっとやらないと。ただライセンスとって、ただ教えるってなると、やっぱり偏った指導になってしまう。例えば25歳の指導者が25年生きたバックボーンの中の伝えられる量は限られてくるので。組織としてみんながどういう風に指導していくか。さっきおじいちゃん指導者の話ありましたが、60歳だったら60年分の何かが言えるわけだからやっぱり小学生にはいいのかもしれないし。
僕も見ている感じ、本当に厳しいし。どこも怖いっすよ(笑)いや引くほど怖いっすよ。
先ほど奥村さんがおっしゃった、自分が子供だった時の事考えたら、そんな言われかたをしたら委縮してできないでしょ、逆に。


とは言え、まあ、難しいところですね。状況を全く知らない人が聞くとあれなんですけど、小さいころからずっとそれでやっている子供たちは、本当にいつもの事なんですよ。
でもそれはこの厳しい時代、コンプライアンスとか言われている中で、最終的には厳しいと思います。そういう時代になってきているってことを自覚して伝えていかないと、自分たちがやりたいことも表現できなくなってしまう。時代にフィットしていかないと。

RODA鶴見
はたから見ると強烈な、そういった指導を受ける選手たちは普通なんですか?

豊島監督
言われ慣れていますよね。

BRINCAR古居代表
だからそれが怖いですよね。さっき言ったその中でその子たちが育ったら。その子たちそれが普通になっていることが。本人たちもそういうことを言ってもおかしくないわけです。本人たちそうやって育っているし。
それって社会に出たら不適合者になってしまうから、それがその子たちの将来のためかって言ったら、そうではないと思うんですよね。そこをちゃんと見ているのか。ビジョンですね。サッカーだけ教えてればいいのか。サッカーというものを通じて何か伝えるものがちゃんとあるのか。
技術、勝つために蹴るだけ、結構みんなこんな感じだから、疲れてしまわないかなと。もっとニュートラルに物事考えられれば楽なのになんて思います。小学生年代は、申し訳ないんですが、フットサルっていう世界の中でやっているチーム、特に多いと思います。ジュニア年代の指導者。それでフットサルというものをやろうとしてる人たちの偏り具合は。

RODA鶴見
そうなんですね。フットサルの動き方とか特性の関係ですかね。

BRINCAR古居代表
そう。こうだったでしょ、みたいな。型にはめたがる。
なんでそれやらないの!って。要は失敗が分かるから、本当はそういう風に動くはずだったのに動かなかったからそれは失敗、お前のミス。みたいな。この上げ足とっている感じ。もとを考えたら指導者がやっていることだからって思うんです。

いやいや、ほんとに怒りすぎだから。子供たちが可哀想すぎる。
試合の時、かたやこっちはヘラヘラしているから、文句は言われるけど…。

RODA鶴見
文句言われるんですか?

BRINCAR古居代表
文句っていうか、見た目が悪いって。ヘラヘラ笑っているから。
だから、奥村さんが見てくれた決勝、僕ほとんど指示出してないです。わざとベンチずっと座っていました。ベンチに座って何もしないで勝てたほうがすごいだろうって思っているから(笑)

奥村監督
後半見られなかったんですよ、仕事で。前半1対1で、1-0で勝っていて追い付かれて、コンサドーレのほうが前半の最後は押していたんですよ。それで、コンサドーレ勝つかなって思っていたんですけど、仕事終わって見たら4-1でブリンカールが勝っていて。
指示は出してないってことですね。そこまで。

BRINCAR古居代表
僕たちが奪ってしまうのかということを考えてたんです。この瞬間をぼくらが知恵とかいろいろなものを与えて勝たせてあげるのか、自分たちから勝ちたいと思って、自らが決断、実行するチャンスをどうするのか。俺らが勝ちたいわけじゃないからあいつらにやらせようと思って。

BRINCAR古居代表
あえて言うのをやめよう。すべては練習で決まっていると思っているので。練習で伝えていることしか出ないんだから、改めてそこで言ったところで何がおこるのって。今回はちょっと思っていたので。
前は違うんですよ。初めて優勝した時は結構指示出していたんですよ。今回、2回目のチャンスもらったから、彼らにちょっと任せてみようと。

豊島監督
出来る確信もあったわけですね?ある程度、少しは?

BRINCAR古居代表
いやたぶん、一回優勝しているから欲がなかったかもしれないです。
あいつらが一回やってみればいいというのがあって、それだけの練習もしてきたし、どうかなといった感じで見てたんですが。そしたら優勝したので。だから嬉しかったです。すごいな、あいつらが本当にすごいなと感じました。

豊島監督
ハイライトしかみてなかったですが、最初すごい押されてて、このままいかれてやられちゃうんじゃないかって…

BRINCAR古居代表
だから大分言われましたよ。なんでベンチすわってそんな感じ?余裕かましすぎじゃないって試合終わった後、親にも言われました(笑)
いやいや、ぜんぜん言うことないよ。頑張ってるし。これ以上なにを言うのと。そんな感じです。
我慢です。
言いたいことを全部言うか、言わずに我慢して子供たちが自分で気づく機会を与えてあげるか。僕たちが子供たちの成長のチャンスを奪ってしまわないよう考えました。


正解のない中にも独自の哲学をもって現場の最前線で答えを求めて輝く人たち。
そこには説得力があり影響力も備わる。
思わず上がる感嘆のため息。頷き。
さらに話題は核心にせまります。

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