REAL FUTEBOL GUIDANCE Vol.1

南米フットボールの体験について

RODA鶴見
ちょっと角度を変えさせてもらって
皆さん南米(のフットボール)を体験されてると思うんですけど…

BRINCAR古居代表
おれ、だいぶ前だな(笑)
お二人のほうが詳しいかな。

奥村監督
自分アルゼンチンすね。

RODA鶴見
実際どうですか?教育とか育成のところ。
チラッと覗いてきた感じどうとかありますか?体験されてきたりとか。

奥村監督
いや、クラブの子供たちの指導ってのはそんなには見てはこなかったですが、思ったことはあります。
アルゼンチンとかって子供の育成はベテランの指導者、おじいちゃんみたいな方がやっているって話は聞きました。日本だと選手とか若い人がスクールとかやっているところで、何か、こう、すべてを解かっているような。
そんな話を聞いて、僕も子供たちと接するときは、自分がその年代の時どうだったかというのを考えるようにしていて、4年生の自分どうだったかとか、どういう気持ちでサッカーやっていたとか、コーチに指導されてどういう気持ちになったとか、そういうのをすごく意識するようにしていて。アルゼンチンの優しい感じのおじいちゃんが子供の心をつかみながらやっているのかなと思ったりして、もちろん全部が全部ではないと思うんですが。そこはすごく自分の中で意識しているとこがあって。どんなプレーしてもチャレンジしたらほめるし、泥臭くスライディングで足のつま先で触ったプレーをとにかく人一倍褒めるとか、そういうことをすようにして、親御さんたちもすごく夢中になって見てくれている。その育成クラスというのを共に楽しんで見てくれている。先ほど“真剣に”と言われていましたけれど、本当に真剣に夢中になってその時間を一緒に楽しんでくれている印象があるので。
アルゼンチンでのそういったもの、子供の心をつかむというところを参考にしているかなと思います。

RODA鶴見
生活にフットボールが根づいている感じが全然ちがいますよね。

奥村監督
そうですねー。まあどこでもボール蹴っていますもんね。道端でもそうですし。
今はどうなんですかね。ぼくがいっていたとき、ストリートサッカーやっている横でドーベルマンが走っていたりとか(笑)ドーベルマンが野良犬なんですよ。逃げながらやっていたりしていましたね(笑)しかもボッコボコのグランドで、かといってボールタッチもままならないところで思いっきりカニばさみスライディングタックルしたりとか、それを予測しながらよけていったりする中で、予測力とか、もちろんボールの扱いもそうですし。
日本ってやっぱり恵まれていて、ピッチとかも綺麗でみんな足技上手いけど、詰められた時にどうしても引いてしまうというか。そこを逆に行くんですよね。来られたら更に行く。そこのメンタリティはすごい。阿久津とかに言うのは、ボコボコのグランドつくってそこでやればいいじゃないかって(笑)

(一同笑)

BRINCAR古居代表
いやいや(笑)無茶苦茶キレイだからうちは(笑)
(ブリンカールのグランドは)とにかくキレイなんですよ(笑)ゴミが一つも落ちてない(笑)

(一同笑)

奥村監督
イレギュラーしたボールを処理しながら相手が来ているのを見るとか。手を使うとか。そういうところの能力は全然違うなと思って。
もっと言うと子供たちがサッカーでプロになって親を助けるとか。そういうメンタルでやっているから、そこのベースが全く違うんです。そこのサッカーに対する人生のかけ方が違うから。こいつボールの扱い下手だなってやつでも試合になったら上手いですよね。日本でそうなるっていうのは難しいですけどね。
だからボコボコのグランドで(笑)ガチガチにやったほうがいいんじゃないかなって。(笑)

BRINCAR古居代表
言っちゃいけないっす(笑)そこ一番金かけてやっているんで(笑)

(一同笑)

RODA鶴見
さっきお話にありましたが、それこそアルゼンチンの子供の親もプロになってくれっていう感じで言っているんですかね?それで期待かけてプロになれなかったら…

奥村監督
まぁ、あると思いますよ。
本当に、今日は練習したけど、次の日は来なくていいよっていう、子供でもそういう世界があると思うので、まあ、ある意味慣れている、普通になっているので。

RODA鶴見
その子はやめちゃうんですかね。サッカー。

奥村監督
いや、他の下のリーグでチャレンジしたりとかですね。一緒に練習してたやつが、次の日トップレベルの試合に出ているとかは普通にあることなので。

RODA鶴見
サッカーをやめる選択肢っていうのは無いんですかね。向こうの人たちは。トップいけなかったらやめるみたいな。

奥村監督
んー。でも生涯サッカーなんですよ、やっぱり。
こう、おじいちゃんがビール飲みながら。休んでビール飲んでそのあとサッカーをやってみたいなのが普通にあるし、サッカーの楽しみっていうのをみんなが分かっていて、だからこそ本気になっておじいちゃん同士が喧嘩しているとか。
楽しんでいますよね。応援する人も。自分が相手に対してこう言ったら怒るだろうなんて予想しながら変なこと言ったりとかもするし。相手がキレてくれたみたいな。で、その選手がプレーをミスしたらサポーター心理からしたら狙いどおりじゃないですか。だから選手たちもそこを気にしないようにしなきゃいけないし。僕もライン割ったボールを取りに行ったら30人位に唾ひっかけられたりしました。ほんとに。だけどそこでニコって笑ってスローインしたりありましたし。そういった駆け引きが常にあるなって。それで、子供もみちゃってるんで、そういう親を。子供もやっちゃいますよね。だから、そんなところも参考にしてます。子供は大人の真似をするので、接し方は気をつけるようにしています。

RODA鶴見
豊島さんもブラジルでいろいろな経験されていますよね。

豊島監督
そうですね。南米はその辺がシビアになるから、もう子供のカテゴリから。
自分は18歳で行ったけど、次の日チームメイトがいないとかはざらだし、そのチームに所属した瞬間からもう始まっているので。削りあいというか。そういう環境がそこにあるので。そこで出来なければ下のカテゴリに行くだけであって、できる奴はどんどん年齢関係なく飛級していって、それこそプロになっちゃうとかいう世界がそこにありますね。
サッカーの先進国だったりすると南米と一緒で、次の日違うカテゴリでプレーしていたり、違うチームにいるっていうのはざらにありますよね。
育成環境など含めて日本とは大分かけ離れた世界がそこにあるので、一概には何を取り入れて、何がダメだというのは言いづらい部分があると思いますが、フットボールがビジネスとしてそこに存在しているからこそ一人の選手に力を注ぐ、できる選手に対してはその熱量も半端ではないものがあって、それが子供の頃から始まっているので、ちょっと日本とは規模感が違い、一緒にはできないかなと思います。

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