REAL FUTEBOL GUIDANCE vol.3

RODA鶴見
先ほどの古居さんがお話した中で、Jリーグ選手になった3人の子たちは、小さい頃から兆しが見えていたりしたんですか?

BRINCAR古居代表
3年生、4年生ぐらいからいたんですけど、言ったら彼らは目的が明確でした。
自分がもうプロになりたい訳なんですよ。本人たちも口に出して言っていたし。
意識としてはもうすごく持っていて。
僕はそれがすごく大事だと思うんです。
子供たちが夢を持って、そうなりたいと思うことが。
大人だったらいろいろ見えちゃう部分で、「お前のそのフィジカルじゃ無理だよ」とかなっちゃいますけど、そうじゃなくって、本当に本心から応援してあげる。
一緒になって一生懸命頑張って、夢中になって、その向かっている過程でなれなかったとしてもその次、出来なかったとしてもその次、最終的には人間的な成長も含めていくと、すごくその子の成長って大きいと思うんです。
だからこそ目標とか夢とか、それをサポートして守る環境とかが大事。
チャレンジできるということ、「こうやりたい」って言ったときに「いいよ」と言ってやれる環境。
目標とか夢を言っても恥ずかしくない。
アクションすると応援してもらえる。
そういうのがさっき言った子供を守るということなんじゃないかと思います。

プロになったやつとかよっぽどヤバいですよ。(笑)
ファミレス行ってハンバーグ出てきたら、あまりに美味しそうで素手で食べ始めちゃうぐらい。

一同(笑)

BRINCAR古居代表
「美味そうっ!!」って。

釣った魚を見て、鱗ついているのに「これどんな感じだろう」ってかぶりついて鱗で口切って血出しちゃうくらい、思ったことをやっちゃう。
普通だったら怒っちゃうんだけど、それを寛大に「わぁ面白いことするねぇ。それは血もでるよねぇ」くらいにしとく。
そんな中で育つ。まずトライすることに対しては否定しない。
一歩踏み出すのが本当に難しいと思うんですよ。一歩踏み出せたら、その次、その次となるので、まず0から1に、生み出せるかどうか。
それが出来ればあとは自分から進んでいけるので。
基本的にはそこをどう理解して応援してあげるかというところ。

例えば子供を見ていて、
もうすぐ机からモノを落としそうだな。だけれども、ちょっと見てようかな。
これが出来るのか。
それとも前もって動いて子供の学びの機会を奪ってしまうのか。

RODA鶴見
それはとっても難しい。親にとっては難しいことですね(笑)

BRINCAR古居代表
一回ミスすれば次やらなくなるかもしれないし、2回同じミスをしたら注意してみるのかもしれないし、ただ、ちょっとしたそういった積み重ねは効いてくるかなと。
これ一つをしっかりやれば大丈夫ですよっていうのは難しいので。

豊島前監督
確かに。
今の古居さんのお話を聞いてパッと思ったんですが…
湘南(ベルマーレ)の話になっちゃうんですが、“齊藤未月”は本当にすごかった。
練習メニューとか解らないところがあるとすぐに確認する。本人の納得がいくまで。
自分の中でかみ砕いて、そして返してくる。会話の出来る選手っていうのは自発的に事が起こせると思います。
2年間くらいみていたんですけど、その時の彼のスキルレベルだと正直、とてもじゃないけどプロに行けるレベルではなかったですね。グループの中でもスキルもフィジカルも特に秀でていた訳ではなかったんですよ。
ただ、しっかり受け答えして、プレーの内容に対して会話が出来ることが優れていました。
彼だけそういう頭があった。
物事をちゃんと見逃さないというか、しっかりこだわってやっているんだなと。
今すごく思い出しました。

思ったことを口に出して、それに対して行動を起こせる子っていうのは、現時点ではレベルが低いかもしれないけれども、成功する実感を積み重ねていくことで成長し、それによって今があるのかなと。

答えだけ与えてはダメで、自分から質問する姿勢というのはすごく尊重したいですよね。
日本人だと恥ずかしいから言えなくて、言われたメニューそのままこなして時間を終わっちゃうというパターンが多いと思いますが。
そこのキャッチボールというかコミュニケーションはやっぱり大事だったんだなと思います。

奥村監督
(齊藤選手が)小学生の時?

豊島前監督
小学6年生と中学1年生の2年間だったんだけど、一人だけちょっと違っていましたね。スキルで飛びぬけていたわけではないですが。

BRINCAR古居代表
ただ、どこでどうなるか分からないですよね。

豊島前監督
そう!わからない。

BRINCAR古居代表
分からないですよねー。
今回ひとりプロになったやつがいて、小学校の頃にうちに通っていたんですが、その時は正直、そういうやつじゃなかったんですよ。

豊島前監督
どのタイミングでそうなるのかっていうのが分からないですよね。

BRINCAR古居代表
そう、どのタイミングで、どのきっかけでなったのかが。
ただ、いつも好きでボールを蹴っていたなと。
結局、本質として繋がってくるのはそこしかないんですよ。
その時のレベルは全然かけ離れている。でもその後、フィジカル的な要素とかいろんなものが関係してきて。
たとえば大吾廊(東海学園大の白川大吾廊選手)にしても小学校の時は本当に何にも出来なかったのに、中学2年生になったら突然フィジカルが上がった瞬間に爆発的に良くなって。
だからもう、どのタイミングでどうなるかは本当に分からないですよ。
ただ今でもずーっとドリ連をやっていたり、自主トレを続けている。
自己追求に対しての時間のかけ方、探求心は本当にすごいです。
好奇心はもちろん、良いと思えばすぐ取り入れる謙虚さとかも含めて。
そこら辺は小さい頃からずーっと継続してやっていますよ。

だから逆に今現状がよくて、そこの本質がないのはこの先どうかななんて思っちゃいますね。よりそのコアとなる部分が大事で、それさえあればどこで化けるか分からないので。

豊島前監督
そういった部分がベースにないと、どんな環境に行っても伸びないですよね。

BRINCAR古居代表
そう。基本そうですよね。
そうなると、じゃあ人間性が大事だから、そういうとこ育てないといけないってなるんですけども…
またそれはそれで、それだけやれば良いんじゃないと(笑)

日本人だとそれをやればなのかな?みたいになっちゃうけれども、そうではないと。
それが全ての答えじゃないから。
それは一つのちょっとした部分であって、それ以外に引っ張られる他のところも一緒に引き上げないと効果は得られないと思います。

RODA鶴見
結局は好きじゃないとってことになりますか?

豊島前監督
好きじゃないと続かないですもんね。

BRINCAR古居代表
うーん、そうですね。

奥村監督
そうですね。好きじゃないと追求は出来ないと思います。

BRINCAR古居代表
ま、どんだけ好きかですね、ほんと。

好きの度合いというか。
好き。でも走るのは嫌だ。みたいな(笑)
好き。走るのも、やらないといけないなら、好き。となるのは本物だと思うんですが。
そこの好き具合が、もう大好き、何にも代えがたいぐらいに好きじゃないと。
アドレナリンと、あの達成感と、あの興奮を知っちゃった人は、逃れられないんだろうなというのがあります。
あの瞬間、あの歓喜を知っちゃった人はもう何よりも、常にそれを求めている。ずっとやり続けてしまうのかもしれないです。逃げられないのかもしれないですが。(笑)

(一同笑)

だから他の事も頑張るというか。
自己犠牲が出来るというか。

豊島前監督
その瞬間を求めるが故に。

BRINCAR古居代表
そして家族が喧嘩するって(笑)

(一同笑)

RODA鶴見
そっちの側面もあるんですね(笑)

BRINCAR古居代表
そうそう(笑)
虜になっちゃっているというか、みんなそこから逃れられない。あの楽しさ以上のものはなかなかないので。

みんなで一緒に一生懸命ボールをつないで何とかして、最後に点を取って勝った瞬間というのはもう、気持ちよすぎちゃって、というところですよね。

豊島前監督
それはね、日本一になった瞬間なんてね!

BRINCAR古居代表
もう気持ち良いんですよ。
めっちゃ気持ち良いんです。
だって、子供たちが夢がかなったって言うんですよ!
夢がかなう瞬間ってあるんですかって。
幼稚園の頃から夢を描いていた子が6年生になって優勝するんですよ。

豊島前監督
そのストーリー凄いですね!

BRINCAR古居代表
ストーリーとしては相当嬉しいですよ。
それに一緒に居れるというのは、もう財産ですよね。
多分、彼らが僕ら位の年代になってもずーっと残っている記録だから。バックボーンにずっと残っているので。

だからずーっと抜けられないんです。
ぬかるみからずっと(笑)

奥村監督
俺らもね、一回なっている訳だからね。日本一に。

BRINCAR古居代表
ずーっと追っちゃうんですよね。「あの時の」とか思っちゃうんですよね。
だからあの時こんだけいけたんだからおまえ達もってなっちゃうんですよね!(笑)

奥村監督
(笑)

豊島前監督
(笑)

BRINCAR古居代表
なんで分かんないんだ、お前たち!みたいなね。(笑)

(一同笑)

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